ARC オーランドフォーラム2019が開幕

Submitted by Shin Kai on


23ARCインダストリ・フォーラムが24日、米フロリダ州オーランドで開幕した。開幕時に、ARCアドバイザリグループCEOのアンディ・チャサ(Andy Chatha)が発表した概数では、世界20か国から参加登録者数で950名、企業数で約300社、75のスポンサー企業と50メディアが参加している。オートメーションと社会インフラ事業領域のエンドユーザ企業、製造メーカ、インテグレータ、業界団体、メディアとアナリストで構成するオートメーションコミュニティが集う単独イベントとしては、業界最大規模を誇る。
 

「産業とシティのデジタル変革を促進する(Driving Digital Transformation in Industry and Cities)」を総合テーマに掲げた4日間の会期中、9つの個別テーマを巡って55のセッションおよびワークショップが、6トラック構成で並行して開催される。この間、講演者とパネリストを合わせると200名以上の業界リーダが登壇する。6つのトラックはそれぞれ、オートメーションの技術革新、サイバーセキュリティとセーフティ、設備パフォーマンス管理、分析機能と機械学習、IT/OT/ET の融合とエッジデバイス、スマートシティとインフラ、のテーマに分かれて議論する。

 

基調講演

5日の全体集会では、基調講演には鉄鋼・工業製品メーカの北米ティッセンクルップ(thyssenkrupp North America)上級副社長のニハール・サタパシー(Nihar Satapathy)氏が「製造業4.0の旅の途上にて:製造のコモディティ化を破壊する」と題して、また産業用ガス大手のプラクスエア(Praxair)ディレクタのラリー・メーガン(Larry Megan)氏が「デジタルDNA@Scale を構築する」と出して、それぞれの企業のデジタル変革の推進事例を発表した。またこれらに続き、ARCのリサーチディレクタであるマイク・ギルフォイル(Mike Guilfoyle)が「産業とシティのデジタル変革を促進する」のテーマで、個別事業の領域を超えて企業全体をまるごと変革するデジタル変革がどのように進展しているかを紹介した。
 

産業用IoTIIoT の活用に端を発し、デジタル・プラットフォームの採用、ビッグデータ、AI、分析機能の活用等を通じて産業系企業がデジタル変革を推進するスピードが加速している。プラントで利用されるソフトウエアが生成される手法、現場に展開される手法が大きな変革の時代を迎えており、AI を含むソフトウエアがIIoT 技術革新の原動力となっている。
 

例年、フォーラムの基調講演では、ARCCEOであるアンディ・チャサが今後現実化する業界内のあらたな技術のフレームワーク、事業モデル等を語るのが恒例となっているが、今年この講演がなかったことも、すでにデジタル変革が構想段階を過ぎ、総じて現実の遂行段階に入ったことを示唆している。
 

サイバーセキュリティ

今回のフォーラムの特徴の一つは、サイバーセキュリティ関連のセッション数の増加である。基調講演の前日の4日から始まったサイバーセキュリティのセッションは、4日間で15セッションが計画されており、これはセッション総数の27%を占める。サイバーセキュリティ対策はどこまで進んだか、ITOTの融合とサイバーセキュリティ、サイバーセキュリティとプラント安全計装などをテーマとするいくつかのセッションを覗いた限りでは、どのセッションも参加者数が多い。また今回、標準規格ISA 62443 に言及する発表者が多い印象を受ける。
 

4日にはまた、半日間にわたる記者発表会で12社が発表した。これらには、HIMA、ベッドロック・オートメーション、L&T TS、シーメンス、ベントレー・システムズ、横河電機/KBC、インダクティブ・オートメーション、GEデジタル、ベーカーヒューズ(BHGE)/ベントリーネバダ、アヴィバ、ハネウェル、シュナイダー・エレクトリックの各社が含まれた。