日立製作所が独、ハンガリーの研究機関と企業間でのセキュアな生産設備融通を可能にする技術を共同開発

Submitted by Shin Kai on

 

日立製作所はこのほど、独フラウンホーファ研究機構製造技術・自動化研究所およびハンガリー科学アカデミー計算機自動化研究所との共同研究により、数量や加工条件などの重要情報を秘匿し、企業間でのセキュアな生産設備の融通を可能にする技術を開発したと発表した。同成果は、日本の経済産業省とドイツの経済・エネルギ省が、製造業におけるIoT 化やIndustrie 4.0 の開発協力を推進する日独IoT 連携共同プロジェクトのユースケースに登録された。

近年、eコマースの普及に伴い、短期間で顧客ニーズが大きく変化するマスカスタマイゼーションが進展しており、製造業では顧客ニーズの変化に対応してタイムリーに生産する多品種変量生産のしくみが求められている。日立はこれまで、ソーシャルメディアの発達により可能となったシェエアリングエコノミーのコンセプトを活用した新生産システム「クラウドマニュファクチャリング」を提案してきたが、同コンセプトは生産設備の利用権を必要なときに必要な時間だけ企業間で融通しあうことで、多様な顧客ニーズへの対応と高稼働率による生産体制の両立を可能にする。

今回、日立は、この実現性を検証するために、フラウンホーファ研究所、ハンガリー科学アカデミーと共同研究を行い、生産に必要な数量や加工条件などの重要情報を暗号化し、生産管理システムと複数の企業の生産設備をセキュアに接続する技術を開発した。具体的には、設備貸与者と利用者の間での設備利用契約や生産計画に基づき、秘匿すべき重要情報を決定し、利用者が暗号化を行う。暗号化された重要情報は、その他の生産に必要な情報とともに一時的に接続された貸与設備に送信され、生産が実行される。生産が終了すると、これらの情報は無効化される。同技術の適用により、設備利用者の重要情報が秘匿されながら、設備利用者はあたかも自社の生産設備のように貸与設備を使用することができ、企業間でのセキュアな生産設備の融通が可能となる。

また今回の共同研究では、同技術をIoT 対応産業用コントローラ(日立産機システム製PAC システムHX シリーズ)に搭載し、製造ラインを模したテストベッド環境において生産管理システムと生産設備の相互接続テストを行うことで、クラウドマニュファクチャリングの実現性を確認した。