クラウドベースのIIoT プラットフォームとそのアプリ開発の最先端

Submitted by Shin Kai on

 

企業がデジタル変革(digital transformation)を通じて競争力と業績の大幅な向上を図ろうとする動きを背景として、様々なデジタルプラットフォームの提案が相次いでいる。デジタル変革は、複数のレイヤの多種デジタルプラットフォームのスタックによって形成される。そのため多種多様なデジタルプラットフォームの開発と提案の競争が世界中で始まっている。今週配信のARC 業界ニュースレターの中にも、欧米発デジタルプラットフォーム関連のニュース記事が多数並んでいる。 

数例をあげると、GE はベルリンで開催した欧州Minds+Machines イベントで、同社のPredix プラットフォームを活用し、予知データ解析、ロボティクス、AI を駆使して、石油・ガス、輸送、エネルギー業界など遠隔地に設備資産を有する企業向けに最先端の検査サービスを提供する新会社アビタス・システム(Avitas Systems)の設立を発表している。また、分析技術、AI、機械学習をベースにしたデジタル・ナレッジ・プラットフォームを展開するマーナ(Maana)の活用事例の記事や、インフォア(Infor)傘下GT Nexus による化学業界向けサプライチェーン商取引プラットフォームの紹介インフォシス(Infosys)のAI プラットフォーム、油圧設備メーカ向けにパーカー・ハネフィン(Parker Hannifin)が提供するIIoT プラットフォーム「the Voice of the Machines」の報告などがある。

ハネウェルのプロセスプラント向けプラットフォーム

他方、クラウドベースの包括的なプロセスプラント向けIIoT デジタルプラットフォームを開発しその上にサービスを展開する企業はまだ少なく、この分野では、ハネウェル(Honeywell)がハネウェル・コネクテッド・プラント(Honeywell Connected Plant)を発表してその先陣を切っている。ハネウェルのプラットフォームの独自性は、IIoT ソリューションによって、プロセス業界が長年の懸案としてきた計画外の装置停止、資産の有効活用や知識・経験の伝承、オペレーショナル・エクセレンスなどの人的資源の課題を解決する仕組みを組込んでいるところにある。同社は、同プラットフォームの提供を通じて、幅広くまた深耕したプロセス分野の専門知識とIIoT 技術を一体化する。

ARC が7月11日に、東京・両国のKFC ホールで開催する第19回ARC 東京フォーラムでは、同社が登壇し、プラントデータの24時間監視、継続したオペレーションのヘルスチェック、能力間におけるギャップに対する助言を含めた課題解決を中心に、新しいクラウドベースサービスを紹介する予定である。

ベントレー・システムズのMindSphere向けApp 開発

また東京フォーラムでは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)分野の先端開発企業ベントレー・システムズ(Bentley Systems)が、同社のGoing Digital 戦略を紹介し、エンジニアリングプロジェクトのスピードと品質を向上させるソリューションを発表する予定であるが、同社は4月の独ハノ-バーメッセでシーメンスのオープンIoT オペレーティングシステムMindSphere のプラットフォーム上で同社が提供するApp の第1号をデモ紹介した。

ハノーバーの会場における同アプリのデモは、ベントレーのConnected Data Environment の多様な性能にフォーカスしたもので、遠隔設備監視を目的としてMindSphere のIoT データを活用して、高度に没入型の視覚的環境を生成してみせる内容であった、という。現在続々と発表されているインターネットベースのデジタルプットフォームの優劣は、いずれそのプラットフォーム上で提供されるツール等アプリケーションの豊富さと活用の利便性が左右する時期が来るであろう。東京フォーラムでのベントレーのこのアプリへの言及を楽しみにしたいと思う。